お子様に「日本でレッジョ・エミリア・アプローチを受けて欲しい」と望むならば、
レッジョ・アプローチを導入している保育園＆幼稚園リストを見て
通える範囲内にある園を探すのがスタンダードだと思います。
イタリアは？結論から言うと違います。
タップできる目次
レッジョ・アプローチの園の保護者は教育熱心でない
はるばる日本からイタリアへ、レッジョ・エミリア・アプローチの視察に来る幼児教育関係者が、
驚かれることがあります。
本場のレッジョ・エミリア市の保護者は、
「我が子にレッジョ・エミリア教育を受けさせたい！」
と意気込んでアプローチを導入している園に殺到するような、教育熱心な親ではありません。
教育熱心ではないというのは、語弊があって、
普通の保育園・幼稚園と同様に教育への関心度は家庭によります。
どのような理由で園を選んだのかと言うと
「自宅から一番近い園を選んだ」というご家庭が多いです。
レッジョエミリア市はイタリアの人口17万人の地方都市です。
この町では、全ての市立保育園・幼稚園、提携園がレッジョ・エミリア・アプローチの園です。
市内には、教会が運営する園など一部、例外の私立園もあります。
それを除けば、子どもは保育園・幼稚園に通園すると自動的に、レッジョ・チルドレンです。
市民にとってのレッジョ・エミリア・アプローチ
レッジョ・エミリアではそれくらい当たり前のことで、市民は特別視していません。
人って関心があるのは、基本的に自分のことですから☺
乳幼児がいる家庭でなければ、保育園や幼稚園に感心がないのは自然なことです。
自分の子どもが保育園・幼稚園通いを始めた時に
初めてレッジョ・エミリア・アプローチに出会う市民が多いんだにゃん。
レッジョ・エミリア・アプローチの園は、特別に高額な保育料を請求するわけでもありません。
保護者の仕事中に預け先が必要だから、
子どもが通園する年齢になったからという理由で近隣の園に入園申し込みをして通い始めるだけ
なのです。
イタリアでのレッジョ・エミリア・アプローチの知名度
では、イタリアの他の地域では？
レッジョ・エミリア・アプローチは一般的には知られていません。
モンテッソーリ教育はイタリアでも知名度が高いんだけれどねぇ。
レッジョ・エミリアは県庁所在地の市なので、
イタリアの人は、町の名は誰もが知っています。
でも、イタリア人に「レッジョ・エミリア・アプローチって知ってる？」と聞いても
「知らない」と答えが返ってくるでしょう。
イタリア人がレッジョ・エミリアについて知っていることは、
パルミジャーノ・レッジャーノというイタリアを代表するチーズです（笑）。
町をあげての教育都市レッジョ・エミリアから学べること
レッジョ・エミリアは市内の保育園・幼稚園の数が多く、
イタリア国内でも、2歳以下の乳幼児の通園率が高い町です。
市が運営する「公立」の歴史が長く、
1963年に市立幼児学校（当ブログでは幼稚園と意訳しています）が、
1971年には市立保育園が開園しました。
レッジョ・エミリア・アプローチを世界に伝えるローリス・マラグッツィ国際センターも
設立されていて、町をあげて幼児教育に力を入れています。
レッジョ・エミリアでは、「子どもも一市民」であることが基本です。
小さな市民である園児たちの活動の場は、園内に限定されません。
幼稚園の園外活動で、頻繁に町に出かけます。
行き先は、図書館や劇場であったり。
あるいは町を歩き回って子ども目線で探検したり。
地域のお祭りに参加したり。
毎年５月には、町をあげて子どもが主役のイベントが開催されます。
レッジョ・エミリアでは、保護者も園の輪の一部。
園の活動に関わる機会も、頻繁にあります。
仕事で都合がつかない保護者も多く、強制感は全くありません。
息子のクラスメイトのお母さんが、
「保育園を子どもを預ける駐車場のような場所だと考えたことは、一度もない」
と言っていたのが印象的でした。
レッジョ・エミリア・アプローチに関心を寄せて読んでくださった方は
以下のようにイメージしてみてください。
レッジョ・エミリアの保育園・幼稚園=子ども、教育者、家族の社会的関係のネットワーク
そのネットワークは町の一部で、子どもも保護者もみな、町を構成する一部です。
イタリアのレッジョ・エミリア教育は、市民にとってどんな存在なのか？
日本であまり知られていない驚きの事実をご紹介します。